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エンジニアの入国トラブルをどう防ぐか(3)

現地での活動が就労とみなされる可能性が高い場合、取るべき対応は以下の3つのいずれかではないでしょうか。
就労ビザを取得する。
通常就労とみなされる作業も認められる他のビザを取得する。
現地での活動内容を商用の範囲で再定義する。

就労とみなされる可能性が高いことを知りながら、ビザなしでエンジニアを派遣している会社は少なくありません。しかしながら、ビジネスリスクだけではなくコンプライアンス的にもお勧めできる判断ではないことは以前ご説明した通りです。

さて就労するのであれば就労ビザを取得すればいいのですが、様々なハードルがあります。

誰の業務か?米国拠点の就労ビザでできる業務はその米国拠点の業務です。米国拠点が関与していない業務、例えば日本本社が直接受けた業務を米国拠点の就労ビザで行うべきではありません。ただし日本本社で受けた業務を米国拠点に業務委託すれば認められる可能性はあると考えます。
雇用関係を作れるか?雇用関係がなければ、その米国拠点の就労ビザは取得できないと考えます。親会社であっても出向命令も出さずに子会社で就労すべきではありませんし、資本関係のない協力会社などの社員を派遣のためだけに雇用契約を結ぶこともなかなか難しいのではないでしょうか。ましてや米国拠点が顧客だった場合、雇用関係のハードルは更に高くなります。
申請条件を満たせるか?H-1Bは大学学部レベルの専門性、Eビザ、Lビザ、Blanket Lビザは就労経験6年程度など、ビザによって求められる知識・スキルのレベルがあります。その他にも国籍や在籍期間などの条件もあります。
スケジュールが間に合うか?Eビザ、Blanket Lビザは1か月半、Lビザ、H-1Bは2か月半は取得にかかるのが一般的かと思います。緊急の派遣要請には間に合わないこともあります。またH-1Bは年間の枠があり、来年まで取得できない、ということもあります。
最後はコストはペイするか?移民局のペティション申請が必要な就労ビザは5,000ドル以上の費用がかかります。そのコストは正当化されるでしょうか。

このように、就労ビザが解決策になるとは限りません。

そこで次回以降、米国の拠点との雇用関係を必要とせず、通常は就労とみなされる作業をすることもできるB-1ビザ(商用ビザ)、契約に基づくB-1 (industrial worker)と、専門性の高い作業に認められるB-1 in lieu of H-1Bビザについて、説明します

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