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エンジニアの入国トラブルをどう防ぐか

新型コロナの感染拡大で入国者が減り、入国審査官に余裕ができたからなのかどうかは分かりませんが、アメリカにビザなしで入国しようとした短期出張のエンジニアが就労を疑われ入国拒否を受けたという相談が、2021年に入ってから立て続けにありました。そして、その後もエンジニアの入国に関する相談がたびたびありました。
弊社が取り扱うビザの約9割は赴任者などの就労ビザであり、短期出張のエンジニアについては十分力を入れて取り組んできませんでした。そこで実態を把握すべく、数回のWebセミナーを開催し、お客様とミーティングを数十回重ねました。その結果、多くの企業が問題を抱えていることが分かりました。まず正確な統計データではないもののセミナーのアンケート結果などから、長時間の入国審査という軽いものから、入国拒否やその後の入国禁止の重いものまで、恐らくエンジニアの2、3割は入国トラブルに合っていると推計されます。
一方エンジニアを米国に派遣している企業のうち、2割ぐらいは入国拒否の可能性があることも、ビザなしでは就労に該当する作業はできないことも認識しておらず、6割ぐらいは認識はしているものの対応に苦慮しており、必要に応じてビザを取得している残りの2割の企業も、ビザの要不要を的確に判断し、入国審査の対策など取っている企業はごくわずかという印象です。
エンジニアの入国拒否により現地での作業に遅れが発生すれば、派遣先に対して莫大な損失を与える可能性があります。またビザなしでは認められない作業を社員に行わせるということは、会社が不法就労をさせているというコンプライアンス上の問題もあります。そういった大きなビジネスリスクがあるにも関わらず、多くの企業が適切な対応を取れずにいます。
アメリカの顧客はエンジニアを受け入れる際、ビザ取得を条件にしているという話も何回か聞きました。トラブルなくエンジニアを派遣できるということは、リスクを最小化するというよりも、対応できていない競合他社との差別化要素であり、ビジネスをする上での必要条件とも捉えることもできるのではないでしょうか。
就労とみなされるから就労ビザを取得しなければならない、というわけではありません。社員に限らず、協力会社の人でも、商用ビザで通常就労とみなされる作業をする方法はあります。入国審査で就労と疑われないための対策もあります。エンジニアの派遣がどうして入国トラブルになるのか、どういう対策があるか、概略を知っているだけでもリスクを下げることができるのではないでしょうか。

エンジニアの入国トラブルをどう防ぐかについて、これから数回に分けて説明していきます。

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